個人メモ

間違いの指摘、助かります。

ピロリ除菌療法

ピロリ除菌療法
☆ピロリ除菌療法
・ランサップ800 1シート(1週間分) 朝夕2回
 タケプロン1錠、アモリン3錠、クラリス2錠が1回分で2回分が1シートに入っている。
 半分量の400でも除菌率は変わらないが、喫煙者や大柄男性では800にする。
・タケキャブ20mg2T/2x
 クラリス200mg4T/2x
 サワシリンカプセル6C/2x
 エンテロンR散2g/2x
 朝夕2回 1週間
ガスター 40mg 1錠 就寝前 56日分
 ランサップで1週間除菌後に2ヶ月ガスターに切り替えた後、外来にてUBT呼気試験を行う。
 胃潰瘍瘢痕などがないときは省略可能。
注)
・通常はすぐに除菌療法を開始する。
胃潰瘍後は1ヶ月間、PPIを投与後に除菌を開始する。
PPI服用あるときはガスターに2週間切り替えてからランサップを開始する。
PPI、ランサップに下痢の副作用があることを説明すること(タケプロンは下痢の副作用あり)。
☆2次除菌
・ランピオンパック(タケプロン30mg2T/2x、アモリンカプセル250mg6T/2x、フラジール250mg2T/2x)7日間
・タケキャブ20mg2T/2x、サワシリンカプセル250mg6C/2x、フラジール250mg2T/2x 7日間
注)ペニシリンアレルギー時:
  クラビット500mg1T/1x、タケプロン30mg2T/2x、フラジール250mg2T/2x
cf)腎機能障害あるときはクラリス200㎎/1xに減量する。サワシリン、タケキャブは同容量でよい。

☆除菌療法が保険対象になる場合
内視鏡にて慢性胃炎と診断
内視鏡もしくは胃透視にて胃、十二指腸潰瘍と診断
・早期胃癌内視鏡治療後
・胃MALTリンパ腫
・特発性血小板減少症
注)
内視鏡治療は過去6か月以内が望ましい。
内視鏡検査は他施設でもいいが、レセプトに日付と所見の記載が必要。
☆H.ピロリ検査(内視鏡を用いない場合)
・抗体測定(抗体価が3以上10未満は陰性高値で、UBTや便中抗原を検査し陽性であれば現感染)
尿素呼気試験(UBT)(PPIを2週間中止する必要がある)
・便中ヘリコバクターピロリ抗体測定(PPIを2週間中止する必要がある)
☆除菌後効果判定
UBTや便中抗原は除菌後3か月後に行う。
PPIを投与している場合は中止してから2週間後に行う。
・抗体で判定する場合は除菌6か月後に測定し抗体価が前値より50%以上低下していれば除菌成功とする。

UBTは食後4時間以上あけて行う。喫煙後30分以上あけて行う。

経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)/PEG増設時のパス

経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)/PEG増設時のパス
☆経腸栄養(PEGやNGから投与する栄養)
・基本
CZ-hi(300ml/300kcal/水240ml) 1日3本
白湯50-50-50ml
塩1-1-1g
cf)簡便に以下の①か②で様子見てもよい(PEG/レビン)。
①メイバランス1.5(200ml/300kcal/水150ml)+白湯200ml 1日3回(療養病院での注入は白湯は1回150mlでもよいし、心不全ある場合は1回の白湯を50-100mlほど、ただし水分が少ないと便秘になることあり注意)
②ハイネゼリーアクア(250g/200kcal/水200ml)4P(1P-2P-1P/2P-2P)
・ラコール(200ml/200kcal/水170ml) 1日1本-2本-1本
 白湯200-50-200ml
 塩1-1-1g
・MA-R2.0(200ml/400kcal/水140ml) 1日2本
白湯200-400-200ml
塩2-2-2g
・PGソフト(200g/300kcal/水130ml) 1日3本
 白湯(とろみ)200-200-200ml
cf)PGソフトは胃管からの投与は粘度が高く難しい。
・ハイネゼリーアクア(250g/200kcal/水200ml) 1日6本(白湯なし)
・アクトエールアクア(400g/300kcal/水328ml)1日3本もしくは300-300-400kcal(白湯なし)
 注)逆流が多い場合。ハイネゼリーアクアよりアクトエールアクアの方がさらに粘度が高い。どうしても逆流する場合は腸瘻という方法もある。
・GFO
 CZ-hiまでは始められない時、とりあえず腸管を動かす目的
GFO100mlを1日3回
毎食、白湯50mlを流す
・状態悪いとき
 CZ-hi 朝1本
白湯200ml1日3回
・腎不全時はCZ-hiの代わりにリーナレン
・肝不全はCZ-hiの代わりにアミノレバン
片麻痺でも嚥下はOKである。無理そうならNGを留置しながらペースト食(パターンを嚥下食Cにして、主食と副食をペーストにする)などを食べてもらい、嚥下できそうならNGを抜去する。
・メイバランス1日3本追加 
 食思不振あるとき
cf)胃瘻時の嘔吐、下痢、便秘について
・嘔吐や下痢は時間をかけて投与したり、ガスモチン5㎎1日3回、ランソプラゾール15㎎1日1回併用する。
・便秘時はマグミット2T/2x-6T/3x、センノシド1-2T就寝前、ナウゼリン10mg1.5T/3x、ガスモチン5mg3T/3x(もしくはモサプリド3包分3)などを追加する。(デフォルトで処方し下痢気味にコントロールするのがよい)
cf)必要エネルギーと水分量
・必要エネルギー量:Harris-Benedictの公式
 女性の基礎代謝量:665+9.6×体重kg+1.7×身長cm-7.0×年齢
 男性の基礎代謝量:66+13.7×体重kg+5.0×身長cm-6.8×年齢
 必要エネルギー:基礎代謝量×活動係数
 活動係数:
  寝たきり(自己体動なし):1.0-1.1
  寝たきり(自己体動あり):1.1-1.2
  ベッド外活動(車椅子):1.2-1.3
  ベッド外活動(歩行):1.3-1.4
  積極的なリハビリ:1.5以上
・必要水分量:①30ml×現体重、1ml×エネルギー投与量、1500ml×体表面積
注)PEG造設時のパス
・造設当日はアタラックスP25mg1A+硫酸アトロピン0.5Aを筋注。
・造設当日から翌日までセファメジン2gを1日2回。
・造設当日から3日後までアドナ50mg1A/日を持続投与。
・造設3日後から白湯100ml3回、造設4日後からハイネゼリーアクア1Pから開始。1日に1Pずつ増やす。
・造設6日後まで瘻孔周囲を消毒、7日後に抜糸。
cf)PEG周囲の発赤はアズノール軟膏
cf)
・エンシュアリキッドは缶なので重たいが、薬剤として処方できる。1ml=1kcal。ただし、セレンなど微量元素が不足する。水を入れたい場合はエンシュアリキッドH(1ml=1.5kcal)がある。
・ラコールは紙なので重たくない。味が和風。薬局で売られている。
エレンタール脂肪酸を含んでいない。IBDなど炎症性腸疾患に使う。低残渣、易吸収。
注意)
・注入開始し、発熱、嘔吐、下痢あれば回数を増やして、1回の注入量を減らす、頭位を上げる等。
・リフィーディング症候群に注意する。P↓、Mg↓で低PはRBC中の2,3-DPGでHbがO2を離れにくくするので、SatがよくてもO2利用ができないことがあり、MIを起こすことあり。通常は10kcal/kgくらいから開始する。ビタミンB1欠乏もあるので注意する。

強化インスリン療法(スケールも含む)

強化インスリン療法(スケールも含む)
☆強化インスリン療法
・マイクロファインプラス 4本
血糖測定電極(スマートブルー) 4枚
メディセーフ針F用 4本
1日4回毎食前と就寝前 14日分
・プレシジョンエクシード(血糖測定器) 1台
メディセーフ穿刺具 1本
ランタス注ソロスター 300単位 1本
1日1回寝る前 75日分
就寝前○単位皮下注してください。
・ノボラピッド注フレックスペン1本
1日3回毎食前30分
毎食30分前に○単位皮下注して下さい。
(インスリン総投与単位数は体重kg×0.4、4等分し毎食前30分の速効型と就寝前の持続型)
・ナノパスニードル14本/袋
 ペンニードル32Gテーパー7本/袋
 ペンニードル30G7本/袋
 1日2回2週間分なら7本入り4袋(予備も考えて8袋)
注)食思不振時のインスリン投与
ランタスは絶対に打つこと。怖いならいつもの半分量にしても良い。
・超速効、速効型は食事が半分以上食べれたら全量打つ(超速攻型を食直後打ちに変更する)。
・3割なら半分量、全く食べれないなら3割量を打つ。
・できるだけ早く受診する。
注)インスリンスライディングスケール
朝、昼、夕食前にBS測定
・ヒューマリンRまたはノボリンR皮下注
 350以上なら10単位
 300以上なら8単位
 250以上なら6単位
 200以上なら4単位
血糖をもっと厳格にコントロールしたい時は、ランタス追加し、
 350以上なら14単位
 300以上なら12単位
 250以上なら10単位
 200以上なら8単位
 150以上なら6単位
くらいまであげても良い。
cf)インスリンスライディングスケールを順次上げていく方法:
  A→B→Cの順に上げていく
      A  B  C
100-149:0-0-2
150-199:0-2-4
200-249:2-4-6
250-299:4-6-8
300-349:6-8-10
350-399:8-10-10
400-  :10-10-10(Dr.Call)
注)
血糖降下剤を内服中で絶食になった場合はスケール対応よりも点滴中にインスリンを入れて持続投与し、血糖値4検を行う。
ブドウ糖5%500ml+ヒューマリンR2-3単位
・KN3号液500ml+ヒューマリンR2-3単位
・TPNにヒューマリンRを混注するときは24時間投与とすること。ブドウ糖(g)の10-7分1の単位数のインスリンを混注しておく。(点滴にインスリンを混注するときは24時間持続点滴が基本)
・エルネオパ1号1500ml:ブドウ糖180g→6単位~18単位まで
 エルネオパ2号1500ml:ブドウ糖250g→8単位~25単位まで
注)
ミリオペンが固いという人はフレックスタッチやペンフィルのような柔らかいものに変更する。
注)入院中のインスリンコントロールの注意点
・具体的に何時に低血糖になったのかを聞くこと。
・間食、リハビリ、病院食のカロリーについて把握する。
・朝食後の低血糖なら朝食前の速効型/超速効型を減らす。
・朝食前の低血糖なら夕食前の速効型を減らすべきで、朝食前の速効型/超速効型はそのままでよいはず(少し減らしてもよいが・・・)
・夕食前の低血糖なら昼食前の速効型/超速効型を減らす。
・Diabetic neuropathyある場合は腸管蠕動低下で消化吸収が遅くなり、血糖値ピークが遅れることがある→ノボラピッドを食後打ちに変更。
蜂窩織炎や術後創部感染などで食事開始後に血糖コントロールが不良な場合はTPNにして絶食、インスリン持続投与を考慮する。
・早朝の低血糖なら就寝前のランタスを減らすか、ランタスを朝食前または夕食前にしてみると夜中早朝の低血糖が予防できる。
cf)インスリン製剤の半減期
・超速効型(ヒューマログ/ノボラピッド):発現15分、ピーク1時間、持続4時間→食直前/直後
・速効型(ヒューマリンR/ノボリンR):発現30分、ピーク2時間、持続8時間→食前30分
・持効型(ランタス):発現1時間、ピークなし、持続24時間→食事時間に無関係
cf)急にコントロールが悪くなった場合
・皮下脂肪のないところに注射していないか。
・きちんと決められた分量を注射できているか。網膜症や白内障緑内障が進んで単位数が見えていないのではないか。
・皮下注射の針のサイズはこれまでどおりか。
・インスリンの種類はあっているか。
注意)療養病院でのインスリン指示
IVHメイン点滴内にヒューマリンRなどを入れるのが普通だが、療養病院ではできるだけグラルギンやランタスの1日1回皮下注でコントロールするようにする(入浴などの時間に合わせて点滴を早く落としてしまうことがあるためと単位ミスを防ぐため)。当初はスケール対応もシンプルで緩やかなものにする。

・療養病院でのスケール対応
 BS60未満:50%ブドウ糖2AivかPEGやEDの場合は注入
 201-300:ヒューマリンR4単位皮下注
 301-400:6単位皮下注
 401-500:8単位皮下注
 501‐10単位皮下注

緩和ケア

☆緩和ケア
内服可能な時:
カロナール300mg4T/4x、疼痛時ロキソニン60mg1T頓服から開始する。
オキシコンチン錠(オキシコドン)5mg 2錠分2
・オキノーム散(オキシコドン)2.5mg/0.5g/包 1包 疼痛時(1時間以上あけて繰り返し使用可)
 cf)・3日間経過みて効果ないときは定期を50%増量し、1日量の6分の1をレスキュー量にする。
   ・オキシコンチンは分割できないので3錠の場合は朝2錠、夕1錠にする。
   ・麻薬処方時は運転は禁止(許可すると事故時に責任を問われるので許可は絶対にしない)。
・ノバミン錠(プロクロルペラジン)5mg 3錠分3
 嘔気強くて内服できない時:
プリンペラン2~4A(1A 10mg/2ml) 持続皮下/静注、または1A静注/筋注×3回/日、食直前
・ノバミン1~3A(1A 5mg/1ml)/日  持続静注
・ノバミン5mg筋注1日3回まで
 cf)・ オピオイドによる嘔気は3割に出現し1,2週間で改善する。
     ・嘔気時はオピオイド変更の検討、高Ca血症、AXRでイレウス、頭部CTで脳転移チェック。
・酸化マグネシウム0.5g3包分3
 cf)便秘は耐性ができないので常に服用しておく。
内服困難な時:
①アンペック坐薬(モルヒネ
・アンペック坐薬10mg 2錠分2→フェントステープに変更も可。
・アンペック坐薬10mg 1錠 疼痛時 3時間あけて呼吸状態見ながら
→イーフェンバッカルに変更も可。
モルヒネ塩酸塩10mg/1ml  5A
 生食45ml
 1ml/hr(24mg/日)
・疼痛時は1時間分を早送りし、呼吸数10回以上なら30分あけて再投与。
・点滴ルートが取れないときは、持続皮下注でも可。
cf)実際の力価より低めで始めたほうがよい。フェントステープから変更する場合は翌朝から開始した方がよい。
例)フェントステープ6mgをモルヒネ60mg/日に変更する場合
フェントステープ6mgの力価はモルヒネ静注60mgだが、フェントステープの血中濃度は12-18hrほど残存するため、フェントステープを剥がして12時間後に力価の1/4-1/3のモルヒネ量(15-20mg)で開始する。
もしくは、
 ①フェントステープ6mgを3mgに変更
 ②6hr後にモルヒネ15mg/日で開始
 ③さらに12hr後にモルヒネ30mg/日にアップ
 ④フェントステープをなくして6hr後にモルヒネ45mg/日にアップ
 ⑤さらに12hr後にモルヒネ60mg/日にアップ
オピオイドの切り替え方法について:
モルヒネ経口からパッチは:貼ったときに1回併用(1日2~3回製剤)
オピオイド注射からパッチは:パッチ貼付後の12時間後にOFF、または6時間後に半量、12時間後にOFF
オピオイド注射からモルヒネ経口は:モルヒネ経口服用1時間後にOFF
・パッチからオピオイド注射は:パッチ剥離後6時間後に半量で開始し12時間後に全量。ただし、痛みが強い場にはパッチ剥離時に半量で開始し6時間後に全量にする
cf)必要モルヒネ量の推定
疼痛時にモルヒネ10mg+生食100mlを点滴開始し、痛みが取れるまでの投与量と再度疼痛を訴える時間を測定する。50ml点滴し疼痛がなくなり、4hrで再度疼痛を訴えた場合は、5mgで4hrコントロールできるため、1日の必要量は30mgとなる。
不穏時/せん妄:
 ・リスパダール内服液(リスパダール)1ml/1包 睡眠前に1時間あけて3回まで投与。
 ・ドルミカム10mg/2ml+生食100mlを4ml/hr(2セットを8ml/hr)で落ち着くまで投与。
 cf)・不穏、せん妄の原因として、オピオイドの増量、抗不安薬、感染、脱水、高Ca血症の影響などをチェック。
呼吸困難時:
 ・オプソ(モルヒネ内服液)5mg 0.5~1包内服
 ・モルヒネ塩酸塩2mg/2ml皮下注
 cf)気道狭窄、SVC症候群、胸水、心不全、貧血ないかチェックする。外気の入れ替え、うちわ、匂いのきつい食べ物を避けるetc。
気持ちのつらさ:
 ・ソラナックスアルプラゾラム/抗不安薬)0.4mg2錠分2~3錠分3
    ソラナックスを1週間投与しても無効な時:
 ・レクサプロ(エスタシロプラム/SSRI)10mg1錠分1夕食後 嘔気の副作用あり
 ・サインバルタ(デュロキセチン/SNRI)20mg1錠分1朝食後、2錠まで増量可能
  SSRI/SNRI使用も無効な時は精神科コンサルト
 ・リフレックス15mg就寝前 1週間以上あけて15mgずつより45mgまで増量可能
  NaSSA。胃腸症状、性機能障害が少ない。眠気やめまいに注意。
  cf)リフレックスは副作用も少なく、マイルドな効果なので、内科入院中のうつ状態に使いやすい。
cf)「1日中気持ちが落ち込む」「今まで好きだったことが楽しめなくなった」どれかが当てはまるなら治療開始。
骨転移の疼痛:
 ・ゾメタ(ゾレドロン酸)4mg/5ml+生食100ml点滴を4週間毎
  cf)・整形外科、放射線科コンサルト。コルセットの着用など。
    ・麻薬にロキソニン60mg3T/3x追加も可能。
    ・大腿部痛は大腿骨転移か、腰椎転移の神経根症状か、DVTか。
注)
オピオイドとNSAIDsの併用は当然可能。
オピオイドとソセゴン(ペンタゾシン)の併用はオピオイド効果減弱のためしない。
・疼痛が強い場合はWHO除痛ラダー第3段階の薬剤から開始してもよい。
モルヒネは腎障害時には減量する(代謝産物のM-6-Gに薬理活性があるため)。
・フェントステープを使う前にアンペック坐薬10mgを使うこと。いきなりフェントステープを使うと保険が通らない。
・フェントステープやデュアロテップパッチは剃毛してから使用してはならない!血中濃度が急上昇する。
・フェントステープの上限はなし。
・フェントステープの増量は2日あけて行う。1mg→2mg→4mg→6mg→8mg。
・フェントステープ1mg,2mg,4mg,6mg,8mgに対して、レスキューとしてアンペック坐薬5mg,5mg,10mg,20mg,20mg/回を使う(もしくはイーフェンバッカルでも良い)。
・力価:
  経口モルヒネ    60mg/日
 =モルヒネ坐薬    40mg/日
 =オキシコンチン   40mg/日
 =フェントステープ  2mg/日
 =デュロテップパッチ 4.2mg/日
 =レペタン坐薬    1.2mg/日
 =モルヒネ静注    30mg/日
 =フェンタニル静注  0.6mg/日
・力価(順天堂大学 ペインクリニック講座 井関雅子先生):
 経口モルヒネ(mg/day)   <29 30-89 90-149 150-209
 モルヒネ座薬(mg/day)   <10 20-40 50-70  80-100
 モルヒネ注射(mg/day)   <9  10-29 30-49  50-69
 オキシコドン経口(mg/day) <19 20-59 60-99  100-139
 フェントステープ     1mg   2mg  4mg   6mg
・イーフェンバッカルはレスキューのみに使用。
注)腎機能障害時の容量調節
モルヒネ:GFR>50:75-100%,GFR10-50:25-50%,GFR<10:使用しない(腎機能低下ではM6G,M3Gが増加する、禁忌ではない)
オキシコドン:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:25-50%(腎機能低下時は半減期が延長し過鎮静)
フェンタニル:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50%(呼吸抑制による死亡例も多いため慎重に投与)
・メサドン:GFR>50:100%,GFR10-50:100%,GFR<10:50-75%(腎機能の影響を受けにくいが呼吸抑制やQT延長での死亡例あり)
・トラマドール:GFR>50:100%,GFR10-50:50%,GFR<10:使用しない(ノルエピネフリン再取り込み阻害作用で腎血流低下あり)
・タペンタドール:GFR>50:100%,GFR10-50:75-100%,GFR<10:50-100%(腎機能の影響を受けないが新薬でありデータ不足)
cf)透析時:GFR<10mL/分を参考に投与量を決める
モルヒネ:使用を推奨しない。
オキシコドン:投与量を調節して使用。血液透析中、一過性に血中濃度が低下、疼痛出現あり。血液透析前に少量のオキシコドンを追加する。
フェンタニル:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・メサドン:投与量を調節して使用。血液透析では血中濃度は低下しない。透析膜の種類により低下する場合がある。
・タペンタドール:投与量を調節して使用。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。
・トラマドール:使用を推奨しない。血液透析で一過性に血中濃度が低下する。活性代謝物のO-デスメチルトラマドールの血液透析時の薬物動態は不明なため血液透析時の投与は避けた方が望ましい。
コデイン:使用を推奨しない。
注)化学療法時の食事
・生もの、生野菜、マヨネーズ(自分で開封したものは可)、はちみつ、カスタードクリーム、ホイップクリーム、明太子
免疫抑制剤の薬効に影響するもの:グレープフルーツ、スウィーティー、文旦、ざぼん、八朔、バンペイユ、ルイボスティーセイヨウオトギリソウ(=セント・ジョーンズ・ワート)ハーブの一種etc。
cf)
・好中球減少:発熱性好中球減少症(FN)が1コース目にあった場合は2コース目からG-CSFを使う。無熱性好中球減少症はリスク高い時のみ使う。投与後2~3日で減少することが多い(もしくはいつピークかを調べる)。好中球数が1000以下でノイトロジン2μg/kg皮下注。目標は好中球数2000以上。
・嘔気、嘔吐:シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバシン、イリノテカンなど嘔気、嘔吐にはプリンペラン無効ならアプレピタント80mgを2〜3日投与、無効ならデキサメタゾン8mgを2〜3日投与する。
・皮膚障害:フッ化ピリミジン系やキナーゼ阻害薬は手足の異常感覚や紅斑、水疱、潰瘍を生じやすく、抗EGRF抗体薬は顔面、体幹にざ瘡を生じるので尿素含んだウレパールやヒルドイド、ビタミンA,E含んだユベラで予防し、生じた場合はmediamクラスのロコイド(顔面はmediamから始める)、strongのリンデロンV、very strongのアンテベートを使う。感染ありそうならアクチアム軟膏やダラシン軟膏、ミノマイシン内服を併用する。
間質性肺炎:咳、空咳、息苦しさ、熱があれば考えてKL-6を測定する。自然軽快することが多い。ゲフィニチブ、エルロチニブ、エベロリムスなど分子標的薬で多い。
・末梢神経障害:手足の痛みや筋力低下、起立性低血圧など末梢神経障害はタキサン系、ビンカアルカロイド、シスプラチン、ボルテゾミブで起きやすい。疼痛にはデュロキセチン、オキシコドンロキソニン、異常感覚は靴下手袋、マッサージ、ストレッチが有効。ケモしてない時の手足の痛みはPMRかもしれない。
HBV再活性化:ステロイド含むケモ中にはB型肝炎の再活性化に注意する。s抗原陽性ならケモが始まる前から核酸アナログを開始する。s抗原が陰性でもs抗体またはc抗体が陽性ならHBVDNAを測定し、2.1log copies/ml以上なら核酸アナログ開始、2.1以下なら1〜3ヶ月毎に測定する。
・脊髄圧迫:頚部痛や背部痛、腰痛あれば骨転移による脊髄圧迫を疑い、全脊椎MRIを。デキサメタゾン10mg投与後、4mgを1日4回からから開始し、1日1回に漸減していく。対麻痺や不全麻痺ある場合はデキサメタゾン96mg/日を3日ごとに半減していく。
SVC症候群:顔面浮腫や両上肢浮腫、嚥下困難あればSVC症候群を疑い、胸部レントゲンや造影CTやMRIをする。
・腫瘍崩壊症候群:ケモ開始後に倦怠感、嘔吐、痙攣、不整脈をきたし、尿酸8mg/dl以上、K6mEq/L以上、リン6.5mg/dl以上、Ca7mg/dl以上(もしくは基礎値から25%以上の上昇)のうち2項目以上満たせば疑い、2-3L/m2/日の生食輸液とアロプリノール200-300mg分3を投与する。
・高Ca血症:食欲不振、便秘、嘔吐、多飲多尿、筋力低下、意識障害あれば高Ca血症疑い、12mg/dl超えてれば200-300ml/hrで生食輸液し、ビスホスホネートを開始する。

DKA

デキスター、血ガスを2時間毎に測定。
・ノボリンR 100単位
  生食100ml
 5ml/hr(0.1単位/kg/hr)
 上記フラッシュし、5ml/hr(体重50㎏の場合)で開始。血糖値300以下になった場合は0.05単位/kg/hr(2.5ml/hr)にし3号液に変更。2時間毎に血糖測定し、下がるようなら50%ブドウ糖20mlを点滴内に混注する。
・生食500ml
 30分-1時間かけて、以降は200ml/hr。血糖値が300以下になったら3号液に変更。
・メイロン静注8.4% 250ml ソフトバッグ
 pH7.1切るときに使用。BEの10倍量を急速静注。

花粉症

☆花粉症
注意)抗ヒスタミン剤クラリチンジルテック、ザイザルは痙攣やてんかんの既往には使わない。
・アレグラ1回60mg1日2回
・ザイザル錠5mg 1日1回就寝前 28日分
・ザジテン点眼薬0.05%(5ml/日)3瓶 1日4回 1-2滴(2瓶で28日分)
・アラミスト点鼻薬27.5μg56噴霧用 1日1回(1瓶で28日分)
→効果ない場合はセレスタミン1錠3日分など
cf)抗ヒスタミン剤での運転の可否
運転注意の記載なし:アレグラ、クラリチン
運転時には注意の記載あり:アレジオン、エバステル、タリオン
運転はしないよう注意することの記載あり:その他
cf)眠気が出るとき
・ディレグラ(フェキソフェナジン+(興奮作用のある)プソイドエフェドリン)を使う。
・それでも眠いようなら抗ヒスタミン薬内服をあきらめて、ステロイド点鼻とか漢方薬(小青竜湯、越婢加朮湯など)を使用する。小青竜湯に含まれる麻黄(エフェドリン含有なのでディレグラとの併用は要注意)で眠気が減る(小青竜湯は眠気がなく、即効性でもある)。

骨粗鬆症

①ビスホスホネート製剤(骨吸収抑制、生命予後改善あり1st choice)
・ダイドロネル 1日1回200mg食間を2週間、10-12週間休薬を1クールとする
・フォサマック(ボナロン) 1日1回5mgまたは1週1回35mgを起床時に水180mlとともに内服
・アクトネル(ベネット) 1日1回2.5mgまたは1週1回17.5mgを起床時に水180mlとともに内服
・ボノテオ(リカルボン) 1日1回1mgまたは4週に1回50mgを起床時に水180mlとともに内服
・ホンヒバ 1ヶ月1回1mg静注
注意)
・椎体A、フォサマックとアクトネルは大腿A(他はC)
・フォサマックとアクトネルはステロイド骨粗鬆症にも使う
・フォサマックはゼリー剤や注射剤もあり
Ccrが30以下では禁忌
副作用)
・吸収不良:水道水で内服する(ミネラルウォーター、お茶、ジュース、コーヒー、牛乳は×、内服後30分は食事×)
・食道狭窄:内服後30分は座位を、入院中は中止する方がよい
・顎骨壊死:口の痛み、下唇のしびれ、口の白または灰色のできもの、顎の腫れ、歯が自然に抜けた、抜歯後の痛みがひかない等あれば中止する。服用開始前に歯科治療が必要な歯がないか確認すること。抜歯時は3ヶ月の休薬を(抜歯後は2-3週間置いて開始)。
・長期投与にて大腿骨転子下や骨幹部の骨折あり。3年以上の投与で骨粗鬆症リスク再評価を。
②SERM(椎体A/大腿C、骨吸収抑制、骨にはエストロゲン作用、子宮や乳腺ではエストロゲン拮抗)
・エビスタ 1日1回60mg
注意)骨作用の他、心血管イベント抑制、T-choL↓、LDL↓効果あり(ただし、TG↑、ホットフラッシュ、こむら返り、海外ではDVTの副作用あり、乳がんと子宮内膜癌は“増加させない”)。血栓傾向あるのでステロイド使用中は禁忌。
・ビビアント 1日1回20mg(エビスタより強力)
③抗RANKL抗体(椎体A/大腿A、破骨細胞の分化誘導に必要なRANKLを阻害、骨吸収抑制)
・プラリア 6ヶ月に1回60mg皮下注
注意)
・低Ca起こすので血清Caが高くない限りはビタミンDを補充しながら使う。特に腎機能低下ある時は注意。
・顎骨壊死や骨髄炎の副作用もあり。
ビタミンD製剤(骨折予防だけでなく骨格筋力upで転倒予防効果あり、椎体はA/C、大腿はC)
・アルファロール(ワンアルファ)1日1回0.5-1.0μg内服
・ロカルトロール 1回0.25μg1日2回
エディロール 1日1回0.75μg、症状により1日1回0.5μgに減量。より強力。
注意)
・血清25(OH)Dが20μg/ml未満で欠乏だが7割が欠乏している。ただし25(OH)Dの測定は保険適応外。
・フォサマック(ボナロン)との併用で重度骨粗鬆症にも効果あり。
・副作用は高Ca血症、高Ca尿症。血清Caが11以上ならいったん休薬しCa値が正常化してからエディロール0.5μg/日から開始し0.75以上に増量しないと骨折予防効果なし。尿中Ca(mg/dl)/尿中Cr(mg/dl)が0.3を超えると尿路結石のリスクあり。飲水指示を。
⑤PTH注射製剤(唯一の骨形成促進剤、他の骨粗鬆症治療薬無効例や高齢者の多発骨折例に適応、1ヶ月に5万円かかる)
・フォルテオ 連日1回20μg皮下注、最大24ヶ月まで
・テリボン 週1回56.5μg皮下注、最大18ヶ月まで
禁忌)Paget、原因不明の高ALP、骨端線が閉じていない若年者、骨への放射線照射、高Ca血症、骨腫瘍(原発、転移)
骨粗鬆症について)
・薬剤選択
椎体骨折がない、比較的若い人にはSERM
椎体骨折があるひとにはビスホスホネート
多発骨折があり痛みが強い人にはPTH注射製剤
大腿骨近位端骨折ならビスホスホネートか抗RANKL抗体
・生活指導
食事はバランスよく十分な食事量を。その上でCaやビタミンDやビタミンK。
ながら体操(椅子に浅く腰掛けて、背筋を伸ばしたまま前後に前屈後屈)を1セット5から6回を1日3セット。ウォーキングも大切。
しかし、骨量維持効果であって増量効果はなし。
骨粗鬆症の治療開始基準
大腿骨近位端骨折または椎体骨折がある場合
その他の脆弱骨折がありYAM80%未満の場合
骨折がなくてもYAM70%以下またはTスコア-2.5以下の場合
骨折がなくYAM70%以上80%未満で、FRAXリスク15%以上(日本酒2合以上、喫煙)または大腿骨近位端骨折の家族歴がある場合
ステロイド骨粗鬆症の治療開始基準
経口ステロイドを3ヶ月以上使う予定でリスク3点以上ならフォサマック、アクトネルから開始。使えない場合はテリパラチオ、ボンヒバ、ビタミンDを使う。
cf)ステロイド骨粗鬆症のリスク
 既往骨折:なし0点、あり7点
 年齢:50才未満0点、65才未満2点、65才以上4点
 PSL換算(mg/日):5未満0点、7.5未満1点、7.5以上4点
 %YAM:80以上0点、70以上80未満2点、70未満4点
cf)長期間ビスホスホネート治療中の閉経後女性への対応のためのアルゴリズム
5年以上の経口薬、3年以上の静注薬のビスホスホネート治療した閉経後女性
→治療開始前または治療中に大腿骨近位部骨折、椎体または他の複数の骨粗鬆性骨折が生じているか
①生じているならビスホスホネート継続か他の骨折予防治療に変更する
②生じていないなら、T-scoreが-2.5以下または大腿骨近位部骨折リスクが高いならビスホスホネートを10年まで継続するか、他の骨折予防治療に変更
③骨折もなく、T-scoreは-2.5以上または大腿骨近位部骨折リスクが低いなら休薬を検討し、2-3年ごとに再度評価する