個人メモ

間違いの指摘、助かります。

水様性下痢(IBSも含む)

水様性下痢(IBSも含む)
<注意!!>
下痢の訴えで、実は軟便、臍周囲の鈍痛、食欲なしは虫垂炎!!
虫垂が長くて臍あたりまで来ていると考えるべし!!
もしくは腸捻転や絞扼!!痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水あれば疑うこと。痛みは強いはず。

☆水様性下痢(IBSも含む)
急性胃腸炎
ミヤBM 3g分3
・ロペラミド塩酸塩カプセル1mg(ロペミン)2C 朝夕毎食後
・ホスミシン500mg3錠分3〜4錠分4
 39度以上の発熱、濃粘血便、激しい腹痛、しぶり腹のどれかがあるとき。重篤であれば便培養とセキリアメーバAB:FAも提出。便ロタウィルス(迅速)や血中ノロウィルス抗原(迅速)。
cf)ノロウィルスの隔離解除は下痢消失2〜3日
ブスコパン20mg2%1ml 1A(ショットはしないこと。50ml以上の生食に溶かして点滴する)
 急性胃腸炎の腹痛時。静注では頻脈きたすことあり。筋注の方がよい。ラクテック500ml点注でもよい。喘息の既往あれば使わない。
プリンペラン10mg/2ml 1A(ショットでも可だがdyskinesia起こすことあり。生食20mlに希釈して静注がbetter。)
 嘔気時。
抗生剤使用時:
・①抗生剤の中止
  ②既往があるならミヤBMビオフェルミンR(Rなしは無効)、レベニンの事前投与
  ④メトロニダゾール(フラジール) 250 mg 4錠分4
  ⑤VCM500mg〜2gを単シロップ4mlと精性水36mlに溶いて分4で内服
 CD-1毒素陽性、CD-1抗原陽性の時。経口摂取困難の時はNGtubeから投与。
 ・大建中湯、マグミット、エレンタールラクツロースなど下痢になる内服の中止。
 ・コロネル/ポリフル細粒83.3%1.2g/包 3包分3
下痢型IBS
 ・ストレスを避け、FODMAP食品を減らすよう指導する
 ・ビオフェルミン3-6g分3,ミヤBM3g分3:プロバイオティクス
 ・ポリフル500mg3錠毎食後(6錠分3まで増量可):高分子重合体
以上が無効な場合:
 ・ブスコパン10mg3錠分3もしくは腹痛時1錠頓服
 ・ロペミン1mg2C分2:止痢剤、頓服でも可
 ・セレキノン100mg3錠分3(6錠分3まで増量可):消化管機能調整薬、頓服でも可
 ・イリボー5μg1錠分1(男性:5-10μg/女性:2.5-5μg):5HT3拮抗薬、頓服でも可
処方例)ネキシウム10mg1錠朝、ビオフェルミン3g分3、セレキノン100mg6錠分3など。
さらに無効な場合:
 ・ドグマチール50mg3錠分3毎食前
cf)IBSについて
・原因:
腸炎による腸内細菌の変化
②FODMAP食品の制限(fermentable発酵性:小麦や玉ねぎ、oligosaccharidesオリゴ糖ひよこ豆やレンズ豆、disacchalides2糖類:牛乳やヨーグルト、monosaccharides単糖類:ハチミツ、polyolsポリオール:甘味料)

cf)最低1ヶ月は米、卵、魚、肉、ニンジン、レタス、きゅうり、トマト、マヨネーズ、塩コショウ、醤油少々、普通の油、バターのみで過ごす。
③ストレスによるCRH増加で蠕動亢進や粘膜炎症増加、リンパ球/CD3陽性細胞/CD25陽性細胞、TNFα/IL-1,6,12の増加、肥満細胞の増加
④glutamine synthetase遺伝子発現増加による粘膜透過性亢進
⑤serotonin transporter遺伝子のs/s型はセロトニン取り込み低下しセロトニン増加
・診断基準:過去3か月にわたり1か月に3日以上で腹痛や腹部不快感をきたし、以下のうち2項目を満たす。1)排便で症状が改善する、2)発症時に排便頻度に変化がある、3)発症時に便形状に変化がある 
①プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌)
②高分子重合体(ポリフルコロネル:水分を吸収し腸内水分保持や蠕動調整、Ca含むため腎機能低下時には高Caに注意)
③①、②で無効
 ・消化管機能調整薬(セレキノン:オピオイド受容体作用薬、蠕動亢進時は抑制し蠕動低下時は亢進させる)
 ・男性の下痢型には5HT3拮抗薬のイリボー
 ・便秘型にはアミティーザ、屯用でセンナ/アローゼン/トランコロン/ラキソベロン
 ・下痢型にはロペミン/タンナビル/フェロベリンなどの止痢剤
 ・腹痛には抗コリン薬のブスコパン/チアトン/トランコロン
 ・上記が無効でうつ優性ならSSRI、不安優性なら抗不安薬を使う。 
 ・それでも無効なら小腸内視鏡や乳糖付加試験をすること。
注)
・FODMAPを含むもの:小麦、豆類、牛乳、ヨーグルト、チーズ、ニンニク、玉ねぎ、大根、ゴボウ、キャベツ、アスパラ、アボガド、蜂蜜、りんご、桃、納豆、キムチ、キシリトールソルビトール
・FODMAPが小腸の酵素で分解しきれずに残ると大腸で発酵し、ガス、水分、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が生じ、IBS症状の原因となる。また、セルラーゼ産生菌があると、発酵性食物繊維(セルロース、ヘミセルロース)が発酵しプロピオン酸を生じ、IBS症状をきたす。