療養病院でのIVH管理まとめ
☆療養病院でのIVH管理まとめ
注意)異常があるからといって、すぐに抗生剤を開始したり、利尿剤を開始したりしないこと。
①アミノトリパ1号850ml+ビタジェクト1A+ソルデム3A200mlから開始(もしくはネルネオパNF1号1000ml)⇒安定していればフルカリック2号1000ml+メドレニック1Aに変更
cf)基本は1000mlだが、男性や大柄女性にはソルデム3A200mlや500mlを追加し1200-1500mlにしておく。
cf)ターミナルでない場合は最低1000mlは入れておくこと。ターミナルとは低栄養が進行し浮腫と尿量減少(濃尿)が来た状態を指す。
cf)TPN開始後、3日間は1日1回のBS測定を行うこと。知らずに高血糖から脱水になっている場合あり。
cf)利尿剤の内服を中止した場合は点滴量を減らすこと。
②熱があるならスルペラゾン(SBT/CPZ、後発:セフロニック、セフォン、ワイスタール全て同じ)1g+N/S100ml1日2回を5日間投与。改善あればさらに5日間追加し中止。改善なければMEPM0.5g+N/S100mlに変更し5日間投与する。それでも改善なければカテ抜去する。
cf)フルカリック2号でカテ熱疑いの場合はエルネオパNF1号に変えると発熱が収まる場合がある。
cf)終末期では肺炎と心不全は高率に合併し線引きが難しい。
③頻脈が続くならワソラン1A+N/S100ml投与。改善なければジゴシン0.5A+N/S100ml連日投与から開始。
cf)経管栄養時の頻脈発作の場合、ハーフジゴキシン1T(0.125mg)+プラビックス(クロピドグレル)75mg内服で改善することがある。
④浮腫、SpO2低下、レントゲンでのうっ血像(butterfly
shadowもしくは両側上肺野のうっ血像もしくは片側/両側胸水)の3つが全て揃えば(どれかだけではダメ)バルーン留置しラシックス1A+N/S100ml開始。改善あればラシックス中止(脱水になってしまうので漫然と継続しないこと)。
cf)浮腫のみで利尿剤は開始しないこと。浮腫+SpO2低下であれば利尿剤を開始してもよい。
cf)心不全による頻脈では利尿剤ではなく、ワソランやジゴシンを投与すること。
cf)③、④の両方が認められるならラシックス1A+ジゴシン0.5A+N/S100mlから開始する。
cf)メインを減らす場合はアミノトリパ1号をビーフリード500mlに変更するが、まずはラシックス投与のみで様子をみていく(メインを減らすのと利尿剤開始を同時にしない)。
⑤尿量減少(濃尿)は皮膚乾燥やturgor低下あれば点滴(ソルデム3A500ml)を5日間追加し尿量を見ていく。高Na血症の場合は5%TZ500mlを1週間追加し改善あれば中止。
⑥尿量減少(濃尿)でも浮腫や皮膚湿潤ある場合は低Albが原因の膠質浸透圧低下による血管内脱水なので点滴を絞っていく(アミノトリパ1号850ml)。急性期病棟なら本来はアルブミン点滴+ラシックス持続投与+トロッカーのケース。
cf)心不全や腎不全による尿量減少は原則は希釈尿である!
⑦褥瘡あればメドレニック1Aを追加する。改善ないときはイントラリポス100ml(+フラッシュ用生食)を週1回投与する。
⑧茶色嘔吐あれば内服中止し、NGtube(マーゲンチューブ)を留置し開放、
ガスター1Aもしくはオメプラゾール1A+N/S100mlを10日間投与し改善あれば中止。
⑨点滴が思わぬスピードで入ってしまった時
拘縮が強いとCVカテが折れ曲がり点滴スピードの調節が難しくなる。姿勢や体位の変化で短時間で点滴が入ってしまう時がある(看護師の怠慢ではないので注意!)。血糖測定を指示し、3号液500mlを次の点滴更新までつなぐように指示すると良い。
感染対策(インフルエンザ、ノロ、MRSAなど)
☆インフルエンザ対策
・潜伏期は2日間で、感染性のある期間は発症1-2日前から発症後5-7日の間。潜伏期間から感染力がある。
・迅速検査の感度50-70%、特異度90%なので、検査陰性でも絶対とは言えない。インフルエンザ疑いなら陰性でも感染対策をする。
・インフルエンザ流行期の対策
1)外来では、①呼吸器症状ありならマスク着用、②手洗い励行、③インフルエンザが疑われる場合は待合室を分けるか、診察の順番を工夫する、④感染者用の診察室を用意する、⑤風邪症状がある場合は面会を控えるように指導する
2)入院患者では、①インフルエンザ疑いの段階で個室対応(難しい場合はカーテン隔離)⇒翌朝に発熱続けば迅速検査の指示を出す、②患者が外に出るときはマスク着用、手指衛生を徹底してもらう、③入室時はマスク着用、手指衛生を確実にする。
3)発症した患者では、①飛沫感染対策を発症後7日以上経過したら解除(あるいは発症後5日かつ解熱後2日、ただしこれは学校保健法で世界的には症状出現から5-7日間)
4)暴露した患者では、①発症者とは別の個室で管理(原則5日間→潜伏期間が長くて5日間なので)、個室管理が難しい場合は、ワクチンを接種していなければタミフルの予防投与を行う(病院負担)。
5)職員では、就業制限は原則として発症の日から最低5日間(発症後5日間かつ解熱後2日)→本当は7日間だが、現実的には5日間となる
☆ノロウィルス感染対策
・アウトブレイクしやすい理由は、①感染力が強い(100個以下の少ない量でも感染が成立)、②アルコール無効
・ウィルス性胃腸炎(冬季下痢症)はノロウィルスだけではない。アデノウィルスやロタウィルスもあり、感染力は高い。
・診断はPCRがベストだが、迅速検査は感度50%、特異度85%(→陰性でも否定はできない、陽性者のみに対策していると蔓延しやすい)。検査会社の感度、特異度はあてにならない。臨床研究での感度、特異度とは違う。
・潜伏は1-2日間、下痢の症状が消失してから7日間、免疫不全者の場合は2週間はウィルスが排出される
・職員が冬季下痢症になった場合は症状消失まで就業禁止とする(症状消失後7日間は排出があるため拡散防止に努めること)。
・12-3月に急激に生じた嘔気嘔吐、腹痛、水様性下痢の3つのうち2つを満たせばノロウィルスに準じた対策をする。
・吐物、糞便の処理方法(ノロウィルスに限定しない)
1)手袋、エプロン、マスクを着用
2)吐物の周囲2mくらいを汚染範囲と考えて処理する
3)吐物の周囲2mくらいを使い捨てのペーパータオルで外側から内側に向けて静かにふき取る。ふき取ったペーパータオルはビニール袋に入れて感染性廃棄容器に廃棄する。
4)ふきとった場所を1000ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液をしみ込ませたペーパータオルでふき取る(次亜塩素酸Naは金属腐食性があるので後で水拭きをしておく)
5)新しい次亜塩素酸Naをしみ込ませたペーパータオルで靴やスリッパをふき取る
6)汚染範囲の清掃を清掃担当者に依頼する。
☆MRSAを始めとする多剤耐性菌の理想の感染対策
・具体的な感染対策
1)アルコールによる手指消毒を徹底する。
2)感染と保菌は区別せずに個室管理し、入室者はエプロン、手袋、マスク(当然、部屋から出るときはマスクも含め廃棄する)着用。
3)保菌者の手や服にも付着しているが、周りの机など環境表面にも付着している。患者に接しなくても環境表面から付着するため、大部屋の別の患者を診察する時にも逐一アルコール消毒をする。
4)MRSAに効果のある薬剤を終了して48時間以上、もともとMRSAが出た部位および鼻腔のそれぞれが3回連続で培養陰性になれば隔離解除。
5)5分に1回は無意識に顔を触っているので、マスクで伝播を防ぐ目的もあるため、MRSAは空気感染や飛沫感染はしないが、マスクは必要。MRSA保菌者の診察をした69%の確率で汚染される。白衣は毎日洗濯する。
・バクトロバン鼻腔用軟膏2%の塗布方法
用法・用量:通常、適量を1日3回鼻腔内に塗布する。
1)綿棒の先にチューブからあずき粒程度の薬剤をとる。
2)まず、片側の鼻腔内に塗布し、次にもう片方の鼻腔内にも同じ量を塗布する。
3)薬剤を均一に伸ばすため、塗布後、両側の鼻翼の上からよくマッサージする。
☆多剤耐性緑膿菌(MDRP)感染対策
・定義はIMP,AMK,CPFXの3剤耐性
・対策は保菌、感染問わずに全例個室で接触感染予防策。
・準MDRP(3剤中2剤に耐性ある場合)も全例個室にするべき。
・G陰性桿菌(緑膿菌、アシネトバクター、セラチア、大腸菌)は毒性が強く、エンドトキシン産生により重症化しやすい。耐性化すると抗菌薬が効かず危険。ERDP、ESBLも含め、多剤耐性グラム陰性桿菌をIMP,CPFX,AMK,CAZ(セフタチジム)のうち2剤耐性(R,I)のものと定義し、個室管理すべき。
・多剤耐性菌が出た時のカルテ記載:ご提出いただきました〇〇検体より院内規定による多剤耐性グラム陰性桿菌が検出されております。接触感染対策の開始をお願いします。
・具体的な感染対策:
1)患者診察、処置前後でのアルコールでの手指衛生の徹底
2)患者さんの使用する器具の固定(聴診器など)
3)患者さんの手指衛生の徹底を指導
4)個室にできるなら、個室管理とし、エプロン+手袋+マスク着用。
cf)多剤耐性菌について
・多剤耐性菌の種類
多剤耐性緑膿菌(MDRP)
多剤耐性アシネトバクター(MDRA)
ESBL産生グラム陰性桿菌
カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)
・日本に限らず訴訟、賠償のNO1はMRSA!→血液培養2セットは必ずとること
・感染症法で全数報告(国、県)が必要な耐性菌
2)VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)→日本では1例もない、Laboエラーのことも多い
3)CRE(カルバペネム耐性腸内細菌)
4)MDRA(薬剤耐性アシネトバクター)*
・多剤耐性の定義:
IPM,AMK,CPFX全てにRであれば多剤耐性とする
IPMのMIC>16
AMKのMIC>32
CPFXのMIC>4
ワクチンについて
ワクチンについて
<総論>
☆ワクチンの種類
生ワク:ムンプス、風疹、麻疹、ポリオ、結核、水痘(生きるのは無風の進歩の結果です)。他は不活化かトキソイド。
☆接種方法
・筋注:HPV、経口:ロタ、皮内注:BCG、他は皮下注
・原則は不活化、トキソイドは局所反応が起こしやすいため深い場所に接種する必要があり、免疫反応が起こりにくいため血流の多い筋肉に接種するべきだが、筋注を指定しているのは現状はHPVワクチンのみ。従って、不活化、トキソイドは皮下深くに接種する。生ワクは局所反応が起きにくいため皮下注でよい。
・皮下注:上腕伸側の皮膚をつまんで30度の角度で針は16mm。筋注:肩の三角筋に垂直に針は25mm。
cf)橈骨神経は上腕伸側の中1/3において背側から腹側に斜めに下降するので、この部位での接種は橈骨神経の損傷を起こす危険性がある。従って接種部位は上腕伸側の上1/3または下1/3が適切である。
☆接種間隔
・不→不、不→生は1週間、生→不、生→生は4週間あける。
・同時接種は左右の上肢に1回ずつ別々に接種する。同側なら3-5cmあける。製剤同士は絶対に混ぜないこと。
・同日接種(朝に検診で接種し、その後来院し他のワクチンを接種)は自治体によっては2回目の保険が通らないこともあり。
☆副反応
①軽微なもの:局所反応:疼痛、腫脹、発赤、硬結、全身反応:発熱、倦怠感、頭痛→数%にみられ、自然軽快する
cf)インフルエンザワクチンによる発熱は当日~翌日、37度台~39度台まで様々。インフルエンザワクチン後に発熱することがあるが、抗体産生まで1週間くらいかかるので、ワクチンによる発熱かインフルエンザ感染による発熱かわからない。
②生ワクによる原疾患類似の症状:麻疹、風疹ワクチンで発熱、全身の発疹→2、3日で軽快し、本来の麻疹、風疹ではないので伝染はしない
③重篤なもの:アナフィラキシーショック(数千~数万分の1、接種後30分以内)、ADEM(急性散在性脳脊髄炎、数万~数十万分の1)、血小板減少性紫斑病
☆接種禁忌
①重篤な急性疾患
②当該ワクチンに対してアナフィラキシーショックの既往ある場合
③免疫抑制状態:先天性免疫不全、ステロイド、免疫抑制剤、抗癌剤使用中
④半年以内の輸血、γグロブリン製剤の使用歴(生ワクのみ禁忌、免疫応答が起こらない)
⑤妊娠中の生ワク(特にMRワクチン)
⑥卵アレルギーでの黄熱ワクチン(インフルエンザワクチンは重篤なアレルギーでなければ接種可)
⑦エリスロマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシンアレルギーに対する麻疹、風疹、MR、ムンプス、水痘ワクチン
・37.5℃以上の感冒や軽微な感染性腸炎は数日は接種見合わせ、麻疹後は4週間、風疹、水痘、ムンプス後は2-4週間、伝染性紅斑後は1-2週あけて接種するが医師の判断で接種も可能
・定期接種の重篤な副反応は予防接種法で補償、任意接種はPMDA(医薬品医療機器総合機構)にて保障される
cf)ワクチンの目標抗体価
麻疹EIA IgG 8-10倍以上、SRL 5-8倍以上
風疹HI IgG 16倍以上
水痘EIA IgG6-8倍以上
ムンプスEIA IgG 6-8倍以上
(医療従事者の場合は異なることがあるので要注意)
<各論>
☆B型肝炎(任意)
・周産期感染(垂直感染)は95%がキャリア化→母子感染予防事業で0.024%まで低下
・乳幼児、小児に周囲のキャリアからの唾液感染、成人以降はSTDとして水平感染することあり、定期接種化が望ましい
・水平感染では30%が急性肝炎(うち2%が劇症化し致死率は70%)、数%がキャリア化
・定期化されたHib、小児肺炎球菌ワクチンと同時に2か月以降に接種すべき
・本来は筋注が望ましいが、皮下深く接種する
☆Hib、小児肺炎球菌(定期)
・小児肺炎球菌は2013年から13価に変更(それまで7価)
・Occult bacteremia(高熱だが全身状態が良好で感染巣が不明な小児での菌血症)はHib/肺炎球菌ワクチン2回接種児ではリスクは1%未満、接種なければ10%あり
☆破傷風(定期:DPT)
・土の中にいるClostridium tetaniから感染する
・100人/年発生、発症すると致死率は20-50%
・DPTワクチンは乳幼児期に4回接種し、11歳でDTを1回接種するが、10年ごとにブースター接種が必要
・汚染された外傷では、
DPT接種なしか不明なとき:テタノブリン筋注、その場で対側の三角筋にTd1回接種、1M後に2回目、6-12M後に3回目
DPT接種ありで最終接種から5年以上ならその場でTd1回接種、5年未満なら予防必要なし
(定期化されたのは昭和43年以降なので昭和43年以前に生まれた人はDPT接種なし)
☆百日咳(定期:DPT)
・新生児から乳幼児の致死率が高い
・ワクチンは生後3か月以降
・成人のアウトブレイクから感染するため周囲の人はワクチンで防御する必要あり
・アメリカでは2011年のアウトブレイクを受けて、全成人と妊婦(不活化なので接種可)にDPTワクチンを接種を進めた
・DPT0.5mlを成人に接種すると発熱、局所反応(自然軽快するが)が起こりやすいので0.2mlにし、0.2mlで十分に免疫力を得られる(Tdapは日本は未承認)
☆麻疹、風疹(定期:MR)
・日本は麻疹輸出国、麻疹は年間300人、先天性風疹症候群は年間16人発症している
・南北アメリカは麻疹、風疹を排除できている
・1歳と就学前(5,6歳)の2回接種する
・生ワクなので妊婦には禁忌
cf)ワクチン接種後に抗体価が上昇しない場合
・風疹ならEIA IgG8.0未満、ムンプスなら4.0未満であれば再接種。
・2回目の接種でも抗体上昇を認めないなら接種製剤を変える(違う会社のものにする)と効果がある。
・風疹ワクチン接種後2ヶ月間は避妊が必要だが、風疹ワクチン接種後に妊娠が判明した場合でも、これまではワクチン接種による先天性風疹症候群の報告はない。
☆日本脳炎(定期)
・ブタからアカイエカを介して感染
・ほとんどは不顕性で発症するのは0.1-1%。しかし発症すると致死率は20-40%、神経学的後遺症は45-70%
・ワクチンは6か月から接種可能だが、日本では推奨接種年齢が3歳となっている(しかし、現実は新生児、乳児期にも蚊に刺されるリスクあるので6か月で接種するのが望ましい)
・九州と四国地方での報告が多い
☆水痘(任意)
・空気感染する上、90%が顕性感染なのでアウトブレイクを非常に起こしやすい
・致死率は10万人あたり1-14歳で1人、15-19歳で2.7人、30-49歳で25人
・多彩な合併症:二次性皮膚細菌感染、二次性細菌性肺炎、一過性小脳失調、髄膜炎、2%未満で20週以下の妊婦で先天性水痘症候群、将来の帯状疱疹のリスク
・ワクチンは2回接種が望ましい(13歳未満は3か月間隔、13歳以上なら4週間空けて)
・通常は1歳で1回目、就学前(5,6歳)で2回目
・暴露後接種が有効なので、水ぼうそうの児に接触した場合はすぐに接種する(特に兄弟の一方が発症したらもう一方に必ず接種する)。72時間以内なら90%、5日以内なら70%で発症を防げる。
☆ムンプス(流行性耳下腺炎)(任意)
・特に問題になるのは難聴で年間650人、不顕性によるものは年間2500人。片側だが、聴力予後は極めて悪い。
・水痘以上に多彩な合併症:髄膜炎、脳炎、精巣炎、卵巣炎、乳腺炎、膵炎、流産、心筋炎、腎機能障害、小脳失調、ギランバレー症候群
・2回接種が必要。1回目は1歳、2回目は就学前(5,6歳)。キャッチアップは4週間空けて行う。
☆HPVワクチン(定期)
・不活性化で初めて筋注指定
・子宮頸部上皮内腫瘍を95%減らしたが子宮頸癌を減らしたevidenceはない
・4価ワクチンでは尖圭コンジローマも予防できる
・子宮頸癌関連の16価の血清型のうち2価もしくは4価のみの予防のため、20歳以降の子宮頸癌検診の受診が必要
・2013年6以降は接種後の重篤な有害事象が複数報告があり定期接種のままだが、積極的な接種勧奨は差し控えられている
・ワクチンと有害事象の因果関係は不明
・感染経路はSTDのみ。sexually activeでなければすぐに接種が必要というわけではない。
☆成人肺炎球菌ワクチン(任意)
・成人用はPPSV(Pneumococcal Poly Saccharide
Vaccine/13価/ニューモバックス)、小児用はPCV(Pneumococcal Conjugate
Vaccine/7価/プレベナー)。
・PPSVはもともと小児用として開発されたが、成人でのみ抗体価を上げた。PCVはPPSVの製剤に加工し免疫反応を起こしやすくしたもの。
・PPSVが市中肺炎を減らしたというevidenceはない。IPD(肺炎球菌関連の髄膜炎や敗血症)を減らす。
・肺炎は予防しないが重症化を防ぐワクチンであると理解する。
・老健施設でのHNCAPを減らしたevidenceはある。
・無脾の人はIPDのリスクが高いので必ず接種する。2歳以上であればPPSVの接種は保険適応あり。
・2回目以降の接種は禁忌ではないが、局所反応や全身反応が強く出ることに注意する(以前は再接種は禁忌だった)。
・無脾の人で以前接種した人は5年以上経過したなら65歳以上で2回目接種する。
・インフルエンザ流行期には同時接種も可能だが、現実的にはインフルエンザワクチンの1週間後、必要あれば肺炎球菌ワクチンを接種。
・呼吸器学会のアルゴリズムでは65,70,75,80…歳(5の倍数)ならニューモバックスを定期で接種し、5年以上あけて再接種(任意)、中途半端な年齢ならプレベナーを接種し、次の5の倍数の年齢時にニューモバックスを定期(2回目以降のニューモバックスは任意)で接種する。
腰痛
<腰痛>
☆片側性によるものは尿管結石を考慮。腰痛と同側の股関節の鈍痛は腎盂腎炎による放散痛のことあり。
☆稀に帯状疱疹のこともあり。水疱に先行して痛みが出ることがある。
★red flag(1か月以上持続、50歳以上、安静時痛、ステロイド使用、体重減少、癌、神経症状)ないか聞く。
★FACET(facet=椎間関節の意味)がないか探す。
①fructure(脊椎圧迫骨折、骨盤骨折、仙尾骨骨折)
・圧迫骨折は高齢者の尻餅で起きやすい。叩打痛ないか⇒あればレントゲン撮影し、叩打痛のところを入念に見る。叩打痛のない圧迫骨折は陳旧性。新鮮圧迫骨折はSTIRでhigh/T1low。圧迫骨折あれば整形入院させ、圧迫が進行しないように水平位を保つ。コルセット装着し1か月の安静後、リハビリ開始。痛み止めはカロナール200㎎9T/3x→トラムセット3T/3x。それでも痛いなら硬膜外ブロック(ペイン外来consult)。
・骨盤骨折があれば必ず造影CTを行い、現在の出血がないか確認する。骨盤骨折は入院。
・仙骨尾骨の骨折は保存的に見るしかないので、痛み止めを処方し翌日整形外科受診を指示。
②aorta(腹部大動脈の瘤や解離)
・移動する痛み、高血圧既往、腹部拍動性腫瘤あれば、腹部エコーを行う。
・3割は腹部拍動性腫瘤がないこともある。
cf)腹部大動脈瘤破裂について
・腰痛を初発とする腹部大動脈瘤破裂は比較的慢性的な経過を取り見逃しやすい。
・体動によらない腰背部痛、血圧低下、嘔吐は腹部大動脈瘤破裂or切迫破裂の徴候。
・closed rapture(破裂による出血が後腹膜腔にとどまった状態)ではタンポナーデ効果によって一時的に出血が抑えられ、血圧が回復することがある。
cf)腹部大動脈瘤の壁在血栓と解離性腹部大動脈瘤の違いについて
・腹部大動脈瘤(AAA)の血管を取り囲むようなLDAは壁在血栓であることが多い。破裂の危険性とともに血栓が末梢に飛んで足壊疽などの危険性もあり。
・血管を取り囲む血栓が三日月状で単純CTにてhighに見えた場合はcrescent sign陽性で切迫破裂の危険性がある。
・壁在血栓は内膜の内側に動脈硬化で生じたもの、解離は中膜が解離して偽腔となり血液が流入したもの。内膜の石灰化が大動脈内に見えた場合は解離の可能性あり。
・真性AAA>50mm-55mm、限局解離を伴うAAA>45-50mmが手術適応。
③compression(ヘルニアや脊柱管狭窄)
・夜間痛(脊柱由来の痛みは、筋肉が弛緩する夜中に起きやすい)、痺れ、尻の中央を押すと足先まで痛みが放散(坐骨神経痛)、膀胱直腸障害ないか見る。両下肢の運動も感覚もまだらに障害される。運動だけ完全に障害されるのは脳血管障害。
④epidural abscess
・腰椎の手術歴+DM+発熱では常に考慮する。ワーファリン使用中の血腫の時もある。
・全身状態が悪い時や採血してCRP2ケタやWBC上昇あれば入院させる。ロセフィン(セフトリアキソン)2gを生食100mlに溶いて30分で投与を1日1回。
⑤tumor
・体重減少、乳癌や前立腺癌既往あれば入院させてMRIを行う。
・腰椎の左右のpedicleが消えていれば骨転移の可能性あり。
☆FACETがなければ急性腰痛症(脊柱起立筋の筋膜炎や棘間靭帯炎etc)としてケンタン(ロキソプロフェン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時頓服で処方する(腎機能低下あればカロナール(アセトアミノフェン)100mg3錠、透析中であれば逆にケンタンで良い)。暖めて動けるなら少々痛くても動くようにして、硬いベッドは避けるようにと指示する。
☆シップはインテナースシップ1袋など。かぶれるという人にはインテバンクリーム1%50mlやスミルスチックを処方する。
脂肪肝
・肝機能異常伴う脂肪肝あれば、HBs抗原、HCV抗体、自己抗体、飲酒歴を調べ、どれも陰性ならNAFLD。
cf)L/S比(肝臓/脾臓のCT値)が1.1以上なら脂肪肝はない。
・食生活の改善(カロリー制限、糖質制限、肉類/SFA/ω-6PUFAの制限、魚類/ω-3PUFAの摂取)、有酸素運動による減量を指示する。
cf)
・SFA:飽和脂肪酸。動物性脂肪。体内で合成できる。肉、チーズ、パーム油に多い。
・TFA:トランス脂肪酸。常温で固形化する油脂の製造過程で生じる副産物。パン、菓子類、揚げ物に多い。
・不飽和脂肪酸:植物性脂肪。ω3とω6は体内で合成できない必須脂肪酸。
・ω-3PUFA:ω-3多価不飽和脂肪酸(αリノレン酸)。えごま油、アマニ油に多い。
・ω-6PUFA:ω-6多価不飽和脂肪酸(リノール酸)。ごま油、ひまわり油、コーン油、ナッツ類に多い。
・ω-9PUFA:ω-9多価不飽和脂肪酸(オレイン酸酸)。オリーブ油に多い。
cf)ω3:ω6=1:4が理想だが、1:10~50が実情。ω6は過剰摂取も摂取不足もACSのリスクになる。
・NAFLDのうち、NASHであれば癌化の原因。ただし、NASHの診断はあくまで生検。
・NASHが疑わしいのは、DMや高血圧を伴っている場合、BMI30以上の肥満、NASHスコア2点以上、AST/ALT0.8以上や血小板20万未満の肝線維化を疑う場合。肝臓専門医へ紹介する。
・Fib4index=(年齢×AST)÷(血小板×√ALT)
陰性的中率はほぼ100%、陽性的中率は50%
Cut-off値(1.45)未満はまずNASHではない(肝生検は勧めなくてOK)
Cut-off値(1.45)以上ならM2BPGi測定、フィブロスキャンやMRエラストグラフィを施行し肝生検必要か判断する(1.45超えていれば肝臓内科紹介でよいと思う)
・NASHスコア:フェリチン上昇(女200、男300ng/ml以上で1点)、空腹時インスリン上昇(10μU/ml以上で1点)、Ⅳ型コラーゲン7S上昇(5μg/ml以上で2点)の合計4点なら9割、2点でも5割がNASH。
・NASHに治療効果があるのは、チアゾリジン誘導体、ビグアナイド、スタチン、ビタミンE、ペントキシフィリン(発がん抑制があるのはビグアナイドのみ)
CTの読み方
<CTの読み方>
冠状断(coronal):体を腹側と背側に分ける面
矢状断(sagital):体を左右に分ける面
水平断(transverse)
☆HFU(CT値)
・30以下なら水(尿や腹水)
・30以上なら血液
・50以上なら凝結塊
☆double phase
・30秒後、Aoや腎皮質が造影→早期相(early phase)
・2分後、Aoや腎実質が造影→晩期相(delayed phase)
☆血腫
・均一
・densityが高い→筋肉より高いdensity(腫瘍と血腫は筋肉より高い)
・HFU30以上
・泡沫状のairなし
・造影でhighかつdouble phaseで形の変化あれば現在の出血(etravasation)
・血腫の中に沈まないhighあれば現在の出血(etravasation)
・臓器外にある血腫
☆大動脈解離(切迫破裂、進行性)
・造影でhigh(単純でもdensity高め)→陳旧性ではisoからlow
・造影でcrescent sign→造影でlowでも新鮮
・造影でintimal flap(真腔と偽腔の境目)
胸部大動脈解離(単純でもintimal flapの石灰化が見える)
大動脈解離がSMAに及んでいる
血栓閉塞型の大動脈解離
☆動脈瘤
・正常大動脈の1.5倍以上(正常部位と比較する)
・造影で真ん丸なetravasation
・大血管からの出血→胸部は解離の破裂、腹部は腹部大動脈瘤(AAA)破裂が多い
☆肺結核
・右上葉に空洞を伴う小結節、小結節の周囲に娘結節、気管支拡張、縦隔条件で石灰化があれば疑うこと
☆肺陰影
・肺胞腔が完全に液体で満たされたとき→斑状陰影、air bronchogram
・「肺胞腔が不完全に液体で満たされairを含むとき」や「肺胞壁の肥厚」→スリガラス陰影
・肺の構造とは無関係な陰影→浸潤陰影
☆肺炎の新旧の区別
・新しい肺炎は呼吸細気管支が炎症で白く写るので、約10mm程度の線状の陰影が見える。
・左半分のほとんどを心臓が占める
・心嚢液(心臓を取り囲むようにdensityの低い液貯留)とIVCの拡張(Aoよりも大きい)がサイン
☆後腹膜血腫
・脊椎の横にややdensityが高いmass
・腎臓が上に持ち上がっている
☆消化管出血
・糞便があればそれ以降の部位からの出血
☆大腸か小腸か(追っていくしかない!!)
・Kerckring襞(小腸襞)は腸管を完全に横切る
・Haustra(結腸ひも)は腸管を完全には横切らない
●上行結腸につながっていれば小腸
●下行結腸につながっていれば横行結腸
(つながりを見るときはパラパラ見ずに1枚ずつゆっくり見ること!!)
・「丸がいっぱい」「丸につながる扇状の腸間膜」「液状物だけでガスなし」は小腸
・「ガスが多い拡張腸管」は横行結腸
☆空腸か回腸か
・右上から左下に線を引き、上が回腸、下が空腸
☆大腸の閉塞か小腸の閉塞か
・小腸は拡張しても5㎝まで、それ以上は大腸の拡張
・上行結腸の拡張もしくは大量の糞便→横行結腸以降の閉塞
・上行と下行の拡張→S状結腸の閉塞
☆腸閉塞
・小腸だけの液状物→小腸の機械的腸閉塞
→①外ヘルニア(大腿静脈が圧迫されていれば大腿ヘルニア、恥骨と坐骨が見える高さで恥骨筋(前)と外閉鎖筋(後)に挟まれた腸管あれ
ば閉鎖孔ヘルニア)
②beak signまたは壁造影の薄い濃いがあればclosed loop
③回腸末端から上行結腸にかけてpseudokidney signあれば腸重積
・小腸だけでなく盲腸や上行結腸にも液状物(niveau)→麻痺性イレウス→腸管穿孔(若年者なら穿孔性虫垂炎)
・大腸の閉塞は盲腸が12cm以上なら穿孔の可能性
→圧上昇でBauhin弁が壊れると小腸が拡張
→圧が逃げられるので待機的に見れる(ただし右下腹部痛は強いはず)
cf)腸炎や虫垂穿孔による麻痺性イレウスでも小腸~上行結腸の拡張が見られるが、腹痛は軽度のはず。
・小腸ガスはそれだけで異常。機械的腸閉塞、急性腸炎、虫垂炎、腸炎、Mesenteric ischemia、腸管穿孔を考える。
横行結腸癌
☆小腸閉塞あれば外ヘルニアを探す
・恥骨筋と外閉鎖孔に挟まれた腸管を探す
・小腸内糞便はより遠位で閉塞起点があるサイン
・蠕動で連続した腸管でも狭窄してるように見えたり、そこから突然拡張してっ見えることがある。中に液体が溜まっていなければ腸閉塞ではなく、蠕動を見ていることが多い。dynamicで見ると閉塞部位が移動しているはず。
☆NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)
・脱水や出血による腸管虚血壊死
☆腸管壁肥厚
・腸炎は単純で全周性の均一な壁肥厚(4㎜以上)→発熱ありなら感染症腸炎、発熱なしなら虚血性腸炎
・辺縁不整で内腔を閉塞する造影効果のある粘膜肥厚は癌を疑う
・内腔を閉塞しない小腸の壁肥厚は悪性リンパ腫か
・何か他に炎症源(虫垂炎やアニサキス腸炎やFHCなど)があって麻痺性イレウスになっている場合は、小腸壁の肥厚は軽くて、拡張だけしている
・感染性小腸炎の場合は、壁の肥厚が強く、内側の粘膜と外側の外膜両方が線状に強く染まり、間の粘膜はそれらよりやや薄いが造影され、周囲の炎症も強い。
・腸炎と思ったらSMV塞栓症を否定する。SMAの右隣がSMVで脾静脈と合流して門脈となる(脾静脈が合流し、SMAの隣にある血管を探す)
☆SMA塞栓症
・SMAを追っていくと血栓による狭窄あり
・右半結腸の壁造影効果が少ない
・虚血状態の右半結腸が拡張している
SMA塞栓症での門脈内ガス、腹腔内air
★絞扼性腸閉塞のサイン
・小腸がgaslessで拡張
・腹水(∵腸管浮腫により静脈が圧迫される)
・closed loopのtriasはgassless、腹水、腸管膜の造影
★腸管壊死のサイン(血栓症か絞扼性)
・earlyでもdelayでも壁の造影効果が弱い→delayで造影されてくれば浮腫か虚血
注)他の腸管は壁が造影されて追えるのに、全体的にほんのり明るくなってるだけで壁が追えない
・壁内にガス(壁に沿って丸いつぶつぶがつながったような像,air-fluid levelもあり)
・肝臓辺縁のガス(門脈によって辺縁に押しやられる、辺縁から2cm以内のガスは胆道内でなく門脈内ガス)
・線状陰影(腸間膜の濃度上昇)→腸間膜の炎症
・ウィンドウレベル/幅をL60W60にして他の腸管との差を見る
★腸管穿孔のサイン
・腹水(ベタッとして均一で形が三日月ぽい)→空気泡多いなら腸管外糞便か
・骨盤内液貯留
・肝周囲のfree air(辺縁がはっきりとした真っ黒、辺縁がぼんやりしてるものは脂肪組織の可能性)
・脊椎/Ao/腎臓付近のfree air→十二指腸(腎周囲のfree air)かS状結腸(腎より下のAo付近のfree air)の穿孔(∵後腹膜)
・IVC虚脱(脱水→循環血漿量↓)
・free airあれば板状硬なくても汎発性腹膜炎と考える(CRP↑+free airで板状硬なければより重篤な腹膜炎と思われる)。
・腹部診察で押さえて一番痛がる部位と腸管周囲ガスが多い部分が一致すればそこが穿孔部位である可能性が高い。
S状結腸穿孔
☆膿瘍
・壁が肥厚し、内部が不均一、上下に追っても盲端になる
☆直腸潰瘍
・直腸出血+他の結腸に憩室なし→大量出血するけど冷静に!E入りネオガーゼを詰めよう!
☆憩室
・造影でも単純でもlow
・highな丸い陰影があれば憩室出血か糞石→出血ならdouble phaseで変化あるはず
・圧痛+憩室+腸管粘膜の肥厚+周囲の炎症像→憩室炎(憩室なければ虚血性腸炎か感染性腸炎か)
☆急性虫垂炎
・外径6㎜以上、壁がよく造影、周囲の脂肪濃度上昇や液貯留
・壁造影のみならカタル性で抗生剤で軽快する
・糞石あれば手術適応(抗菌薬だけでは無理)
・虫垂は水平断では細長く尻尾様か筒状かに写る
・Uターンしているものもある
●盲腸は水平断では丸い→丸くないところは回腸か虫垂の起始部である!!
・盲腸を下まで追っていって急に小さな丸になれば虫垂の起始部
・盲腸の近くに小さな石灰化があれば糞石の可能性がある。pCTでもよく見れば糞石を取り囲むように虫垂が見えるはず。
・盲腸との接続が確認できなくても、小腸が盲端になっていれば虫垂のはず。
☆腸重積
・内側の腸管と外側の腸管の間に血管があることが腸重積の証拠
・血便や腹膜炎あれば穿孔や壊死の可能性→CFよりも緊急手術
☆腸管拡張
・大腸は8㎝以上
・小腸は5㎝以上
☆急性胆嚢炎
・短軸5㎝以上、かつ壁の肥厚(4mm以上)、周囲脂肪織の炎症像
急性胆嚢炎(胆石が頚部に嵌頓している)
☆総胆管拡張
・正常総胆管は7-11㎜
・胆摘後やEST後は総胆管拡張するので注意
☆腎盂腎炎
・くさび型のlow density
・腸腰筋筋膜(腎が見えるレベルで椎体に付着している筋)が肥厚→腎周囲の炎症
☆気腫性膀胱炎
・膀胱壁内にガス→膀胱内の大量のガスは膀胱直腸瘻の可能性あり(直腸癌か)
・尿のniveau
・膀胱壁に沿ったガス多数
☆肝膿瘍
・1個の時は大腸の炎症(全周性の壁肥厚)を探す
☆肝血管腫
・動脈相での辺縁部もしくは結節全体の大動脈と同じ明るさの早期濃染
cf)HCCなど悪性腫瘍では96%が早期濃染しても大動脈より暗い
・門脈相~平衡相での高吸収~等吸収、中心への濃染の広がり
cf)一部造影されない部位があっても一度造影された部位が低吸収になることはない。
cf)HCCでは7割が門脈相~平衡相で低吸収になる。
注意)dynamicCTでの時相
・早期動脈相:Aoおよびその主分枝のみ造影。門脈のenhanceはあってもごくわずか。
・後期動脈相:古典的HCCが最も造影される。門脈もenhanceされてきている。
・門脈相:肝実質が最も造影される。
・平衡相:血管と肝実質が等しい濃度。HCCではwash outがある相。HCCでは被膜濃染を認めることがある。
血管腫(単純→動脈相→門脈相→平衡相)
☆特発性食道破裂
・左側胸水+縦隔内気腫
☆急性膵炎
・①膵臓腫大、②上腹部痛、③アミラーゼ上昇のうち2項目陽性なら急性膵炎
・膵頭部で椎体の横径以上、体尾部で椎体の横径の2/3以上を腫大とする
・膵臓周囲の毛羽立ち、液貯留
・膵実質の不均一化
・片側腎上極の腹水→後腹膜の炎症のサイン
☆慢性膵炎
・①石灰化(US,CT)、②主膵管または副膵管の分断や拡張(頭部で5㎜、体尾部で3㎜)、③セクレチン試験で2因子以上低下、④病理
→CTではとにかく小さくても石灰化を探す(ほんの小さな石灰化でもOK)
☆凸レンズ型の血腫
・脳なら硬膜外血腫
・肝臓なら被膜下血腫
・手術適応は、増大、壊死、感染
慢性硬膜下血種(古くなると見逃しやすい)
☆腹部外傷
・肝損傷、腎損傷、脾損傷、膵損傷
☆脾梗塞
頭部MRIの見方
頭部MRIの見方
cf)頭部MRIの見方
・DWIでhigh/ADC活性DWIでiso-low(orDWIでhigh/Flareでlow)なら新鮮脳梗塞
・T1low/T2highなら陳旧性脳梗塞
・T1/T2/T2starでlowなら陳旧性出血
・脳梗塞:1週過ぎからT1でlow、T2でhighになってくる。DWIはすぐにhighになっていき1日後がピーク、1週後にiso、そこからlowになっていく
・脳出血:T1では1週から1カ月の間だけhighで他の期間はiso、T2は1日から1週はlow、1週から1カ月の間はhighで他の期間はiso
cf)脳梗塞発症時間の推定
・DWIでhigh、FLAIRでhighなしなら発症3hr以内(FLAIRでhighになるのは6hr以降)
・CTで脳梗塞がはっきりわかるのは8hr以降。∴脳梗塞の症状がありCTですでにLDAがある場合は別の部位に脳梗塞を起こしている可能性がある!CTのLDAにすぐに飛びつかないこと!